宗教とは何か?

実は、専門的にも「宗教」の定義は
一定していません。

ここでは、
現代日本に生きる上で
有用と思われる整理をします。

構成要素は
「宗教法人格の有無」
「布教活動の有無」
「団体への所属の有無」
「信仰の有無」の4つです。

ここでの定義は広くとるので、
どれか一つでも
含んでいればそれを「宗教」と呼びます。

重なる部分と、
重ならない部分によって、
異なる「宗教的な現象」が構成されます。

大まかに全体を図示するとこのようになります。

構成要素① 宗教法人格の有無

「宗教法人」とは、法律上、税制面で宗教独自の分類として与えられたものです。

代表的な例としては、
神社、仏閣、キリスト教会、
新興宗教団体など。

なんと、非課税です。
もともと営利目的ではない
慈善事業として保護されている
建前です。

ただ、「宗教は儲かる」などと
言われる裏の側面もあります。

法律のお墨付きに、
信仰心が加わると、
金に糸目をつけないという現象が
起こりやすくなるためです。

たとえば、
人が亡くなった場合は、
葬式をあげて、墓や仏壇にお金を
払わなければ気持ちが悪い


考えてしまうのも、
実は宗教心・信仰心のなせるわざです。

これが一種の「宗教心」である
という自覚がある人は少ないでしょう。

信仰がなく、
気持ち悪さを感じない場合でも、
世間体として、習俗として、
こうした宗教法人の活動は維持されます。

また、初詣や厄年などで祈願したりする行為も、
実は無自覚的な宗教心・信仰心が働いている
とここでは捉えます。

特に日本人はそれを宗教とは
呼びませんが、
これは日本特有の現象であり、

海外からみると、
その行為自体、
礼拝であり信仰である点で、
立派な宗教心です。

ちなみに、宗教法人であっても、
信仰をもっておらず、
実家の稼業を継ぐ、
という程度のドライな経営
が維持されている場合もあります。

構成要素② 布教活動の有無

布教活動とは、狭い意味では
宗教団体の教義を
教え広めることです。

ただし、「布教」と見なせる例は、
必ずしも宗教団体や宗教法人に
属さなくともみられます。

たとえば、健康食品などを
「これ良いよ」と薦める場合がそうです。

ここではあえて、
「その”良さ”を教え広める」
という程度の広い意味で取っておきます。
(この理由について詳しくは「④信仰」の末尾に記します)

そこに信仰が無ければ、
詐欺やビジネスの要素が前面に
出てきます。

ビジネス側に信仰心がなく、
信仰心を掻き立て利用する
という場合も、

「布教」であり
「(危険とされる)宗教」
の範囲に入ります。

いわゆる霊感商法はこの領域内、
つまり
信仰を持たない者が
信仰を持つものへ、
あるいは信仰を持たせることによって、
集団的組織を背景として遂行されます。

ちなみに、
信仰がある場合でも、
布教する場合もあれば、
しない場合もあり得ます。

たとえば、
私的な信仰があったとしても、
布教しない人は多く存在します。

また、
組織があったとしても、
積極的な布教活動をしない場合もあり得ます。

構成要素③ 団体への所属の有無

「団体への所属」も狭い意味では、
教会組織など、
カルト的な「修行」や「お布施」など
を行う宗教団体がイメージできるでしょう。

(カルトとは、特定の対象を熱狂的に崇拝したり礼賛したりすること。また、その集団。異端的宗教を指します)

広くとるなら、
一般に「宗教」とは呼ばれないものも含みます

たとえば、
秘密結社や、メンバーズクラブ、
特定の人種、家柄、階級、
専門職集団、単に学校などの
閉鎖的集団への所属(帰属意識)
も含まれます。

集団というだけで、
ある程度「宗教的」な意味合い
を持ちはじめるとも考えられます。

その上、
ある価値を信じているという
一種の信仰(構成要素④)
を伴えば、
これはすでに相当「宗教的」であると言えます。

たとえば、
人種差別や、家柄、学歴に対する
「信仰」は、特段布教はせずとも、
宗教法人格とは別の所で、
一種宗教的な排他性に結び付きます。

学校や社会に適応して
働かない者が差別されるのは
当然と思われるかもしれませんが、
それは閉鎖的集団特有の信仰を伴う現象です。

なぜなら、
何らかの集団組織が閉鎖的であるかぎり、
カルト集団に見られるような集団リンチや、
脱会信者への弾圧、
連れ戻し等に類する現象がみられるからです。

ただし、
一般に社会に認められている限りは、
それは宗教でもカルトでもないものとみなされます。

社会にとっては、
ただ、「反社会的」なもののみ
が「カルト宗教」です。

また、ここに定義した集団性に
信仰が伴っていたとしても、
暴力が伴わない限りは、問題とはなりません。

たとえば、スポーツ選手を英雄視して
一種神聖な存在として崇める現象のように、
ある種の団結を強め有用に機能する場合もあるでしょう。

ところで、
閉鎖的集団組織を持たず、
宗教法人格も持たず、
信仰心のあるものは、
いわゆる「スピリチャル」と呼ばれることが多いです。

団体への所属を重んずる立場は、
伝統を重んじる保守主義、
所謂、右翼的となる傾向があります。

反対に、
団体に所属しないスピリチャルは、
リベラル、
所謂左翼的となる傾向があります。

ここにも、
精神性の向上を純粋追求するものから、
信仰を利用してビジネスと化している
ものまであります。

ビジネス化しているものは既に何らかの集団に属しています。

ただし、慈善であっても、活動資金は必要です。

人の役に立ちながら、利益を生むこと自体、健全な経済活動です。

それが閉鎖的に不当に人をだますことによって成立する点に問題が生じるわけです。

構成要素④ 何らかの信仰の有無。

「信仰」とは、狭い意味では、
「神」を信じることです。

しかし、信仰の対象は、
これに限りません。

たとえば、「先祖」や「前世」
「生まれ変わり」「死後の世界」
を信じる場合、

あるいは石や木などの自然物、
あらゆる神羅万象、宇宙など、
何らかの物の「パワー」
を信じる場合もあれば、

「教祖」を信じる場合もあります。
カリスマ性をもったスターの存在もここでは「信仰の対象」として含みたい所です。

ここまで広げると
「宗教」と呼ぶには議論のある所ですが、

熱狂的なファンが、
そのスターによって「救われた」
とする現象は、宗教現象と重なります。

比喩として「まるで宗教」
と呼ばれることもあることからも分かります。

とにかく何かを信じていれば、それは信仰です。

その意味でいえば、
一般に正反対のものとみなされている
「科学」も信仰の対象です。

「科学」という概念を信仰している
と言うと
科学者の方は認めないかもしれませんが、
これは哲学的議論です。

もっと身近な所では、
機械のような人工物が信仰の対象
になることもあり得ます
(Appleコンピューターのブランド力は、宗教に近いものがあります)。

似非科学(科学的な雰囲気があるが、実は科学ではないもの、ニセ科学)が横行するのは、

一般の人にとっては、
科学が信仰の対象だからです。

科学者にとっては、
検証可能という点で、
神や超自然的現象とは明確に異なりますが、

一般の人々にとって科学かどうか
を検証するまでに手が回ることは稀です。

一方で、科学者の中には、
「神」を信仰する人は、
特に海外には大勢います。

その場合の「神」とは、
荒唐無稽なイメージというよりも、
科学の限界点に想定せざるを得ないもの
として、

あるいは
直感によって捉えられた
人知を超えた作用を
「神」と呼ぶ場合も多いようです。

日本に多い例としては、
「信仰をもっている」
と自分で認めていない場合でも、

実は何らかの霊威や、
死後の世界などを信じている場合
は非常に多くあります。

このように「信仰」の定義を広くする場合、
人が何らかの「信仰」を持たない事は
かなり難易度の高い態度ともなります。

つまり「”信じるものは何もない”という事を信じている」
とすら言えるからです。

この立場に固執するわけでなく、
常に仮説と検証といった態度
を崩さないのであれば、
確かにそれは
「信仰を持たない態度」という事ができます。
が、かなり特殊な態度となるでしょう。

一般的には、
現実の世俗世界で信じられているもの「以外」、
つまり「聖なるもの」
を強く信仰していることを、
俗に「信仰を持っている」とするのが妥当でしょう。

ただし、
「常識は信仰ではない」としてしまうと、
現在常識レベルで進行している
あらゆる差別を黙認する事態に陥ります。

常識レベルの妄信による理不尽な暴力
が見過ごさないため、
ここでは信仰を広い意味で捉えました。

まとめ

以上で、現代日本において、
「危険」な一方で「人を救う」
ともされる「宗教」と呼ばれる現象は網羅しているはずです。

網羅して何になるのか?

それは、
「宗教による救い」と「宗教の危険性」
は何処に起因するのかを明らかにできるからです。

昨今、宗教はただ危険なものとして
忌避されます。

通常の生活を送る分には、
忌避しておけば良いものです。

しかし、
ひとたび危機に陥った際には、
それではあまりにも無防備です。

宗教とは何か、
出来る限りその正確な把握をしておくことが、
防御策にもなり、また、
苦しみを突破する策ともなると考えます。

「宗教的な救い」と「宗教の危険性」その具体的な分析は、次の記事で紹介します。

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